Vol.13 仙台で初の民間業者による仮土葬
第6次支援部隊として仙台に派遣しているむすびす(旧アーバンフューネス)社員のレポート
4月5日17時現在
本日午前は、数十体のご遺体にドライアイス交換を行いました。特に印象的だったのは、棺の上にランドセルが置かれていたお子さんのご遺体です。最初は下校途中に津波に襲われたのかと思いましたが、ランドセルにはまだタグがついたまま。
「ご親族が4月の入学準備のために買ってあげたものだったのかも知れない。青い色は、この子が好きな色だったのか・・・」
一緒に選んだ家族の情景を思い浮かべると、私自身も子を持つ父親として胸が詰まりました。
午後は石巻市の旧石巻青果花き地方卸売市場へ、ご遺体をお迎えに向かいました。
ご遺族が判明して清月記さん(葬儀社)で供養することが決まり、仮設安置所からいったんお連れしたご遺体は、同社4斎場のホール内にずらりと安置され、埋葬方法・日時の決定を待っています。
やはり火葬を望まれるご遺族が多いのですが、近隣の火葬場は最短で10日待ち。
遠隔地の火葬場へも搬送が始まっているものの、日々ホール内の棺は増え続けています。
ドライアイスでいくら固めても、もうご遺体の損傷は止めようがありません。
市場の安置所には、ドライアイスの供給が十分とはいえない中で、お迎えが来ない、来てもその場から動かせないご遺体が千体以上残されています。
むすびすのメンバーも現在、要請を受けたご遺体を、1回につき1体心をこめて寝台車でお送りしていますが、この棺の数を見ると、このままでいいのか、間に合うはずがないと、焦りと力不足を感じます。
仮土葬の進捗状況はというと、自衛隊も本日のところはまだ完全撤退していないとのことでした。
一方で、昨日はじめて清月記さんでも40体のご遺体を仮土葬されたそうです。
自衛隊ではトラックでご遺体を搬送していますが、清月記さんでは「地元の葬儀社として精一杯手厚くしたい」とトラックは利用しなかったとのこと。かといって霊柩車は十分な数を確保できません。そこで、ハイエースのレンタカーを10台借り、陸運局の特別許可で白ナンバーのまま(通常のご遺体搬送は緑ナンバー)往復したそうです。
地元の野球チームの監督が土葬されるときは、教え子たちが集まり、まるで葬儀のようなお別れの様子も見られたということでした。
仮設安置所では、いまだたくさんの被災者が家族を探されています。ご遺体を覗き込んでは、また別のご遺体へ・・・。その顔に表情はありません。心中を想像するだけで、つらくなります。
遺体安置所には「葬儀社リスト」は貼り出してあっても「埋葬相談」の窓口は見当たりません。中には家族の遺体を見つけても、埋葬手段に困り「手元にお金がなく、葬儀を頼めないから」と葬儀社に連絡できないでいるご遺族がいると聞きました。
また、地元葬儀社も被災しているため車が出せず、火葬場までの搬送を遺族自身が手配したり、他地域の親族に頼るケースもあるそうです。
埋葬を進めるには、墓地や搬送手段の確保など、もっと大きな力が必要だと、ひしひしと感じます。
現地のガソリン供給状況はかなり改善し、8時から17時までスタンドが開いており、少しの待ち時間で給油できるようになったため、私たちも支援のあり方を再検討したいと思います。