花の流通・販売からデザイン・装飾まで、花の総合サービス企業として半世紀の歴史を誇るユー花園。
葬儀では、年間20,000件の花祭壇のデザイン・装飾を行い、お客様やお取引先様から高い評価を得ています。
そのユー花園がカタログのラインナップには含まれない、終活メディアだけのコンセプトモデルとして、季節の花祭壇をデザインしました。
第5弾となる10月の花祭壇は、ドウダンツツジとスプレーマムをメインの花材に使用した花祭壇です。
ユー花園・クリエイティブデザイン室の森谷宏親さんに、花祭壇のストーリーやこだわりについてお話を伺いました。
花祭壇のテーマは、紅葉の季節を迎えた公園の散歩道です。
お仕事が忙しかったご主人様は、ご夫婦二人の時間をなかなか過ごせずにいらっしゃいました。
そのご主人様がお仕事をお辞めになってからは、お二人で毎日お散歩に。
ご夫婦が仲睦まじく公園を歩くお姿は、ご近所でも評判でした。
旅立たれた奥様のために、ご主人様が選ばれたのは、紅葉の季節を迎えた散歩道のデザインでした。
西の空が茜色に染まるころ。
秋が訪れた散歩道、何気なく交わしたお話の途中で、奥様はこうおっしゃったそうです。
「この時期が一番好き。いつまでも見ていたい」
そのお言葉を思い出されたご主人様は、ご葬儀のお打ち合わせの席に、2枚のお写真を用意されていました。
1枚は、木々が赤く色づいた散歩道のお写真。もう1枚はご遺影に選ばれた奥様のお写真。
奥様のお写真は、どこか眩しそうに微笑んでいるお姿でした。
祭壇の背景の木々には真っ赤に染まったドウダンツツジを配置し、紅葉を迎えた公園の散歩道を作り上げました。
夕日を浴びた地面を再現するため、オレンジのスプレーマムを一面に。
天井から垂れているチュールは夕暮れ時の光を、ドウダンツツジにわたしたチュールは、木々を吹き抜ける風をイメージ。
やわらかな曲線を描くチュールが、物腰が柔らかく、穏やかなお人柄だった奥様も思い起こさせます。